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2019年08月23日

愛用のダイアモンドルーペ

愛用のダイアモンドルーペ

ダイヤの品質の見極めは結構神経を使います。
輝く物を近くで見続けるので、目も結構疲れるんです。

ダイヤ専用の10倍ルーペはいくつか持っていますが、愛用はこのBausch&Lombのもの。
その他、アトリエにはクラフトマン用のNIKONやら、昔僕がGIAで購入したもの、メーカー不明の年代ものなど、何個でも選び放題になっています。

他のを使っても使っても、これに戻ってきてしまう。
欠点もあるけど素晴らしい魅力のある、愛すべき奴です。

問題はその外観。
米国製なのだけど、作りがいかにもアメリカンな感じで、その昔箱を開けた瞬間『不良品か』って思ったくらい雑なんです。
緻密さが求められる製品なのに。
金属部分のヘアライン仕上げも、『ヘアラインって言うか…ヤスリで削っただけだろ?』って雰囲気。
写真で見えるかどうかわからないけど、途中で別角度から削り込んだように面が歪んでいます。ジュエリーのヘアライン加工を行うアトリエとして見たら、検品落ちどころかありえないクオリティ。
黒い樹脂部分には、大きなバリが残ってるし。
ちゃんと削っといてよ…。
他のルーペが細部までメッキ仕上げになっていたり、磨き上げられていたりするのと比べて、アトリエ内でダントツにチープなオーラを漂わせているのです。

そんな奴なんだけど、覗いた瞬間に評価が変わります。
なんと言ってもレンズが素晴らしい。歪みのないクリアな視界。
そもそもダイアモンド用のルーペは倍率10倍と決まっていて、色の差や歪みを修正するために3枚のレンズを組み合わせた構造のものが使われます。
レンズの大きさはメーカーによって異なり、レンズ単体の精度や、組み合わせの精度も違いがあるようですね。
昔NIKONのサイトで、宝石ルーペを開発した際の苦労話を読んだ覚えがあります。

このルーペは何というか、『ピントの合う深度が浅いけど、しっかり合わせてホールドすればとてもくっきり見える』感じ。視界のサイズも良い。
中央にカリカリにピントの合う1点があって、そこさえキープすれば思い通りにダイヤ内部のインクルージョンにフォーカスして、1ミリ以内の範囲内を次々に移動して見ていけるのです。
インクルージョンにフォーカスしないのなら、もっと明るく、全体がふわっと見渡せるルーペもあります。
用途や使い方が自分に合っているのかもしれませんね。

どんな時も持っているものなので、チープな軽さもいい。
金属の部分に長時間指を通しっぱなしにしても、疲れません。

緻密なレンズを作る部門と、テキトーに外観を組み立てる部門が別の会社なんじゃないかと思うくらい、ガワとレンズのクオリティーに差があるよなぁ。
『キレイにダイヤを見たいんだろ?それで十分だろ?』ってアメリカのおじさんに言われてる気がします。
そもそもレンズを含めて、この製品に個体差があるのかもしれませんね。

やっぱり人はギャップにやられるんですかね…。
もうコイツから離れられません。

というわけで、もう10年ほどポケットに入れっぱなしのルーペになっています。
今日もいっぱいダイヤ見ました。ごちそうさま。

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Posted by まーちん at 19:25│Comments(0)
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プロフィール
まーちん
まーちん
静岡県浜松市出身。
大手企業で法人営業を経験後、ジュエリーをはじめとした高級品の外商部門へ配属。宝石や営業への苦手意識や怪しそうな先入観があり、克服したい思いと逃げ出したい思いから配属初年で全国トップセールスとなる。
数年後、部門の買収を機にIT関連企業から声をかけていただき転職、ジュエリーWEBショップサイトを運営する。
オリジナルジュエリーを企画・販売する中で、いつしかジュエリーを好きになっている自分に気づくと同時に、あまりにもそれを知らないことに気付く。宝飾業界の販売のあり方にも疑問が募り、販売技術だけでなく「ジュエリーそのものを1から学びたい」との思いが芽生えたため、退職してイタリア・フィレンツェのジュエリースクールに単身留学。
多くの熟練マエストロ達からイタリア式ジュエリー制作、フレンツェ流透かし、デザイン、彫刻などを学ぶ。

帰国後、ヨーロッパスタイルの「工房&ショップ」でオーダーメイド・ブライダルジュエリーを制作するアトリエフィロンドールへ仲間入り。様々なジュエリーの現場経験と製作経験を生かして、理想のジュエリーづくりのお手伝いをする。
・GIA(米国宝石学会)ダイアモンド修了士。
・ブライダルジュエリーブランド「MIORING」、「HISTOIRE de Filondor」ディレクター
・1級ジュエリーリモデルカウンセラー(JRC)

アトリエ・フィロンドール
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