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2017年05月31日

勉強会の旅

アトリエ・フィロンドールでは、オーダーメイドのアトリエとして製作してきたジュエリーを

『MIORING(ミオリング)』
『HISOIRE de filondor(イストア)』


の2つのブランドとして展開し、全国のべ25(2017年5月現在)のブライダルジュエリー
セレクトショップで販売していただいています。

社長がほぼお一人でショップを切り盛りするお店から、老舗宝石店、日本最大級の
ブライダルジュエリーセレクトショップまで、様々なお店で販売していただいています。
とても光栄です。

どの地域のどのお店であっても、それぞれのブランドについて正しくお伝えいただき、
お客様に等しく最高の歓びとともにブライダルジュエリーをお届けしたい。
そんな思いから、定期的に各ショップを訪問して、多忙なスタッフの皆様に勉強会を
開催させていただいています。

先週は関西から四国、今週は青森・秋田。
4月に入社された新しいスタッフの皆様が少し落ち着いた今頃は、毎年全国のお店を
訪問する時期です。


BIJOUPIKO松山店様にて


2時間から3時間、時には定休日を利用して時間の許すまで。
販売のコツやトーク方法よりも、私達のジュエリーづくりの姿勢や、
手作りの技法の秘密をご説明します。
それぞれ多数のブランドを同時に販売される中、優秀なスタッフさんの姿を借りて、
私達アトリエ・フィロンドールのスタッフが直接お客様に語りかけるような形で
ジュエリーをお届けできるのが理想です。


ショップからショップへの移動はかなり長距離。
いつもギリギリの時間配分で移動するので、合間にいただく食事は何よりの楽しみです。



佐藤養助秋田店でいただいた稲庭うどんときりたんぽ。ツルツルで最高でした。


今日は秋田から浜松のアトリエへ帰るだけの移動日。とっても贅沢な気分です。
とはいえ、移動の新幹線でもしーっかりと仕事ができてしまうのが嬉しくも寂しいところ。
事務関連のお仕事は移動中にやっつけます。


秋田新幹線『こまち』は一部在来線を走るため、
新幹線なのにコトンコトンと音を立て、森の中を突っ切るように走ります。
針葉樹が生い茂る森を散歩するような景色に、どこまでも続く田んぼ、清流。
ときには並走するクルマに追い抜かれたりして。





出張で起こったこと、訪問先でお話したこと、各地のジュエリー店の動向など、
景色を眺めながら頭の中を整理します。


浜松の小さなアトリエが作るジュエリー。
日本中の同業者様に価値を認めていただき、お客様には一生を共にするブライダルリング
として選んでいただける。こんなに幸せなことはないですね。


全国で販売される私達の作品に、じんわりと暖かくなるような思いをこめて。
販売していただくスタッフの皆さんの背後に私達の存在が感じられるように。
そんな思いを感じながら景色を楽しみます。
  
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Posted by まーちん at 17:00Comments(0)MIORING

2017年05月14日

宝石店はダイヤをすり替える!?

先日、婚約指輪のリフォームをお受け取りにお越しくださったお客様から、ある一言をいただきました。

「このダイヤ、本当に私が預けたものですよね ? すり替えたりしていないですよね…?」

お預かりした時にも「すり替えたりしないでください」とおっしゃっていたので、本当に心配をお感じだったのですね。



大切な宝石を預かるとたまにいただく質問なのですが、
思わぬタイミングで久しぶりにいただいたご質問に、今回は思わず言葉が詰まってしまいました。当然ですがそんな事は決していたしません。

お客様に喜んでいただこうと真剣に取り組んでいるほど、そんなごく普通の、
素朴なご質問が胸に刺さります。私達はまだまだだなぁと。

本当かどうかは別として、そんな事をするお店の噂話を聞くこともありますね。
大切に思うお品物を預ける事に不安になるのは当然です。
リフォームや修理では良い仕事をするほど、丁寧に洗浄や磨き上げを行うため、品物がまるで別物のように美しく変わる場合もあります。
言いにくいことを複数回切り出していただいたということは、よほど心配に感じられる点があったということです。
お客様に安心していただけず、申し訳ない気持ちです。

お預かりした書類に記載した内容、ダイヤの状態やキャラット数を丁寧にご説明して、
お品物の同一性や、私共のお品物に対する考え方、すり替えが起こらない理由をご納得いただけるまで一生懸命ご案内しました。

宝石店の命とも言うべき『信用』が、私達に足りていないのだなという点に悔しさを感じました。


高価な宝石・貴金属を扱う宝石店にとって、信用はなにより大切な財産。
天然鉱物と貴金属を加工した工業製品でありながら、美術品や希少品としての価値をあわせ持つジュエリーは、芸術品やファッションとして、相場変動のある貴金属として、様々な価値の集合体であるだけに価値判断が難しいものだと思います。

お客様とお店との『知識の差』が大きい商品であり、科学的な数値で判断しにくい商品であるからこそ、私達のようなジュエラーの信用が大切です。




すり替えという行為そのものについて申し上げると、
数年単位で店舗を構えて営業している普通の宝石店であれば、そういった詐欺行為の心配はほとんどいらないと思っています。
当店にかぎらず、安心して宝石店を利用していただきたいです。

あたりまえに、全ての宝石店が高い倫理観を持って宝石を取り扱っているはず。
そして精神的な話を差し置いても、そんなことを思う根拠は、宝石店にとってすり替えをするメリットがほぼ『ない』からです。ご安心ください。

ご不安の声をいただく品物の多くはダイアモンドか真珠。どちらも取り扱う数が多く、お客様にとって価値の見分けがしにくい商品だからではないかと思います。

もしすり替えが起こるとした場合、考えられるパターンは次の2つです。
1.偽物にすり替える
2.価値の低い本物とすり替える


このようなことが起こることが考えにくい理由は沢山あるのですが、おおむね次のようなものです。

1.偽物へのすり替えについて
自然が作った宝石には全て個性があり、見た目がよく似ているダイアモンドや真珠でも、よく見るとかなり違いがあるものです。お客様がお持ちの品物にあわせて、サイズ・色・形・カット形状やプロポーション・傷や連相がそっくりな偽物を見つけるのは大変むずかしいです。
偽物として使用されるキュービックジルコニアや貝パールなどは工業製品なので、画一的で個性がありません。また、一見美しすぎるほど美しいです。あえて品質にバラツキをもたせて、欠点やムラ、使い古した印象のある偽物を作るのはかえって費用がかかります。
預かったものと偶然似ていたり、探しまわって見つけるのは不可能ではないのかもしれませんが、入手する確実性が低く、コストも大変なことになってしまいます。
そんな苦労を重ねてすり替えを行っても、他の宝石店に持ち込めば本物の宝石でないことは一瞬で判断できるのです。
偽物にすり替えるということは、想像以上に大変です。

2.価値の低い本物にすり替えについて
持ち込まれた個性のある宝石に対して、すり替えても見分けがつかないほどの本物を宝石店が持っている可能性がとても低いです。
ダイアモンド製品は、0.00ctと少数点以下2桁までキャラット数(重量)を刻印されます。小数点以下2桁まで同じ重さで、なおかつ価値の落ちるダイアモンドを探してすり替えることは、執念を持って取り組まなければできません。
もしサイズが0.1ct違えば宝石店のプロはすぐに気が付きますし、もっとサイズの差が小さくても、同じ台座にはセットできません。
この場合は重さを量ればすぐに入れ替わったことが確認できます。
真珠も同様に、交換できるような本物を持っている可能性はほとんどありません。お預かりするほとんどの真珠が、汗や傷、経年による変色など、何らかの変化が起こってしまっています。
使い込まれた品物を、新品と交換するなんて考えられませんよね。

リフォームでお持ちいただくものは古いものがほとんどですが、一方で、宝石店に並ぶ宝石たちは、どんどん進歩する技術でより良いものに変わっています。
健全なお店であれば、お客様が欲しいと感じていただけるような、より良いものばかりを取り揃えています。


このように倫理観を別にした場合でも、犯罪を犯してまで中古の品物を入手するよりも、新たに仕入れたほうが宝石店にとってメリットがあります。
様々な裸石を仕入れ、加工を全て行うことができるアトリエの私達ですらこう考えるのですから、加工せず販売だけを行うショップにとって、すり替えなど一つも良い事がないだろうと思います。
お客様を裏切り、悲しませ、危ない橋を渡ったとしても、得られるものはほとんどありません。
ジュエリーは受け継いで長く長く使うもの。些細な事でも不正を行えばいつかどこかの時点で必ず見つかり、お店の信用を一度に失ってしまいます。
何より宝石に携わる多くの人やお店が、キラキラしたより良い宝石を提供することでお客様に喜んでほしい、心から幸せになって欲しいと思って仕事をしていると思います。



とは言え、最初から悪意を持って営業を行い、簡単に店を畳んで姿をくらますことができる環境なら、詐欺行為が行われる可能性も否定できません。
ネットでもこのような話が数多く出てきますし、経緯には不思議なものを感じますが、有名百貨店がすり替えで敗訴した事件もあります。
だからこそ、お客様自身の判断で信頼できるお店を見つけてほしいと思います。
実店舗を持たない業者や、WEBや郵送だけでのやりとりはリスクがあります。

もし初めて依頼するお店がご心配なら、預ける時がポイントです。
お店のスタッフの説明をしっかり聞き、品物について記載される書類に詳細を記載してもらって、後に同一のものであるか確認できるようにしてください。
ダイヤならキャラット数や特徴(傷や内包物)、真珠なら珠数やエクボなどの位置です。
もっとも、しっかりした宝石店ならお客様が心配する前に案内してくれると思います。


一つ一つ良い仕事をして、私達の仕事を知っていただくことで信頼を増し、お店の雰囲気やスタッフの人となり、全ての点で「ここに任せれば安心」と思っていただけるお店を作っていきたい。
ジュエリーって楽しい、嬉しい。人がジュエリーについて考えるとき、いつもポジティプな感情が浮かぶようにしたい。そう思います。
人生を共にする、大事なものを扱う仕事なのですから。

創業97年目を無事迎え、もう一度基本に立ち返らせていただける良いきっかけとなりました。
もっともっと信頼していただけるお店にならなければ。  
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Posted by まーちん at 19:24Comments(0)ジュエリー
プロフィール
まーちん
まーちん
静岡県浜松市出身。
大手企業で法人営業を経験後、ジュエリーをはじめとした高級品の外商部門へ配属。宝石や営業への苦手意識や怪しそうな先入観があり、克服したい思いと逃げ出したい思いから配属初年で全国トップセールスとなる。
数年後、部門の買収を機にIT関連企業から声をかけていただき転職、ジュエリーWEBショップサイトを運営する。
オリジナルジュエリーを企画・販売する中で、いつしかジュエリーを好きになっている自分に気づくと同時に、あまりにもそれを知らないことに気付く。宝飾業界の販売のあり方にも疑問が募り、販売技術だけでなく「ジュエリーそのものを1から学びたい」との思いが芽生えたため、退職してイタリア・フィレンツェのジュエリースクールに単身留学。
多くの熟練マエストロ達からイタリア式ジュエリー制作、フレンツェ流透かし、デザイン、彫刻などを学ぶ。

帰国後、ヨーロッパスタイルの「工房&ショップ」でオーダーメイド・ブライダルジュエリーを制作するアトリエフィロンドールへ仲間入り。様々なジュエリーの現場経験と製作経験を生かして、理想のジュエリーづくりのお手伝いをする。
・GIA(米国宝石学会)ダイアモンド修了士。
・ブライダルジュエリーブランド「MIORING」、「HISTOIRE de Filondor」ディレクター
・1級ジュエリーリモデルカウンセラー(JRC)

アトリエ・フィロンドール
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